得意先の先生との話の中で何気なく名前があがったこの本。
すぐにAmazonで注文して読んでみました。
医学の勝利が国家を滅ぼす
なかなか強い言葉のタイトルですよね。
内容はタイトルのまま。
画期的な新薬の開発。
これまでは死を待つのみであった病が治り、寿命が延びる。
素晴らしい医学の発展。
しかし、その結果医療費が少子高齢化の影響もあり、
爆発的に膨張。
このままでは次世代への影響も必須で、
いずれは日本という国は崩壊するであろう。
この業界にいるからだけでなく、
今ではニュースなどでも「医療費が〜、医療費が〜」と放送されてますので、
皆さんも国内の医療費が大変なことになっているのはなんとなくご存知であるかと思います。
しかし、どこまで真剣に考えているのか。
私自身なにかアクションを起こしているわけではないので、
この筆者「里見清一」先生は凄いなと。
「75歳以上の患者はすべての延命治療を禁止する」
とんでもなく炎上しそうな考えです。
ですが、筆者は熟慮の末「それ以外に私は思いつかない」と記述しています。
もちろん治療のすべてを禁止にするわけではなく、「対症療法」(痛みを和らげるなど)はきちんと行うとしています。
個人的には75歳以上というと少し早い気はしますが、
もうこういった制度でもないと変えることは出来ないのではないかとも感じます。
本の中では高額薬剤として異例の薬価改定を受けて「オプジーボ」の話がよく出てきます。
オプジーボとはがんの治療剤でして、従来であったら死を待つのみであった患者が、なんと回復するという画期的な薬剤です。
しかし、問題はその薬価と、治療成功の確率。
オプジーボの年間投与金額は驚きの約3500万円!
そして治療成功率は贔屓目にみてもせいぜい30%程度と書かれています。
つまり70%近くの患者は期待して投与したけど、求めていた有効性は得られない。
それに効果が出た患者だって、いつまで治療を継続すれば良いのか。
その時の膨大な医療費は?もちろん税金が当てられますよね。
たしかにこの調子じゃ破綻するに決まってるわな、と。
「製薬会社が儲けすぎ!」との意見が出ることありますが、筆者もそのことについては「物事はそんなに単純ではない」と否定しています。
たしかに昔は接待三昧で夜のお店にお金を落としまくっていましたが、今の製薬会社ってガチガチに厳しいルールで縛られてるので、そんなこと出来ませんからね。
それに製薬会社としては、医薬品の研究開発に莫大なお金がかかるので、やっと発売に至った薬剤にそれまでの開発費用を上乗せするのはしかたない事なのかと。
とにもかくにも健康が一番ですね。
私は老後を迎えたら次の世代に迷惑かけないよう、延命治療なしで死んでいきたいと思いました。
そしてその時、後悔のないような人生を歩んでいきたいところです。